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いけない純情

 私がまだ幼い頃の話。


「鳴海ちゃん、一緒に帰ろ」

 そう言って私の後を追い掛けて来たのは、背の小さい内気なTくんという男の子。
 通学路を並んで歩き、人気が無くなってきたら私はランドセルを降ろして受け取ろうと伸ばす手にそれを預ける。
 ありがとうとお礼を言うと、彼は満足そうな顔で微笑み返して赤いランドセルを抱えた。
 ランドセルが重いと言った私に「持ってあげる」と背中からランドセルを降ろして持ってくれてから、一緒に帰る時はそうしている。

 Tくんは私がお願いという命令をすると、頑張ってそれに応えようとしてくれる。それが嬉しくて、色々な遊びをした。
 ブランコを漕いで足から靴を飛ばして拾いに行かせ、取って来ると靴を履かせてまた拾わせる、取ってこい。
 目を閉じさせてお花あてクイズ。
 間違えたり失敗すると木の棒で叩いたり、手で口を塞いでいいって言うまで我慢させたりという、罰をする。
 邪魔されずに二人だけで遊びたかったから、知ってる子の居ない遠くて小さな公園で色々な遊びや罰をした。
「楽しい?」と聞くと、いつも「楽しいよ」と答えて笑っていた。


 意地悪な遊びの楽しさを覚えて、どこまでしたらこの子は嫌だというのかと試して虐めすぎると「出来ないよぉ」と音を上げる時もあった。
「私の言うこと聞けないなら、もう遊んであげない」
 パチンと頬を叩いて置いていくと、目に涙をいっぱいにして「ごめんなさい~~」と後を追いかけてくるのが堪らなく可愛くて好きだった。

 私達は幼いなりに主従関係が出来ていた。
 Tくんの前で私は意地悪なお姫様になりきって遊んでいた。
 お人形や本よりも、悪いお姫様ごっこが一番好きだった。


 面と向かってそれを咎められたことがある。
「お前、Tを虐めるなよ」
 そう私に言ったのは、みんなのリーダーの男の子だった。
 あの子の頬を張った所でも見たのかもしれない。彼の真っ直ぐな正義感から見たら私の行いが許せなかったのだろう。
「虐めてないよ」
 そう答えると彼は、はぁ?と声を上げて嘘を付くなと私を睨んだ。
「Tくんがそう言ってたの?」
 返事はない。
「私に虐めれてるの?って、聞いてみたら」
 納得のいかない顔をしながら彼は、やっぱり悪い奴を見るような目で私を見ていた。
 それから話したことは無いので、本当に尋ねてみたのかは分からない。
 虐めてないよ。と言ったが、それは嘘だ。
 私はTくんを虐めて遊んでいる。Tくんも私に虐められて遊んでいる。
 それが私達の楽しい遊びなのだ。

 意地悪をするのは悪い事だ。
 先生や母親に、遊びを知られて叱られた事もあった。
 相手に対して何の悪意もなく、ただ楽しくてしている意地悪や命令遊びをいけないと咎められる。
 だから、そういう遊びが分からない人に余計な水を差されないよう隠れてするようにした。
 秘密の遊びにしたらもっと楽しくて、人には言えないような命令もするようになった。
 そうして、更に悪いことを覚えて私は今に至っているのだ。

 あの土と木の匂いのする小さな公園が懐かしい。
 きっと、大人になったTくんもマゾに目覚めているだろう。
 私達は知らぬ間にラシオラで再会しているのかもしれない。
 そうだとしたら、素敵ね。




大人になった鳴海ちゃん。
あの頃も、ひらひらのスカートやフリルのブラウスをよく着ていました。

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鳴海

Author:鳴海
La siora Domina NARUMI

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Email:lasiora2008@yahoo.co.jp

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